拈華微笑 南無父母不二佛

何でも仏教徒として思いついたことを書きます

安寿恋しや ほうやれほ 厨子王恋しや ほうやれほ

「安寿恋しや ほうやれほ
厨子王恋しや ほうやれほ
鳥も生あるものなれば
疾う疾う逃げよ 追わずとも」



森鴎外の「山椒太夫」と説経の「さんせう太夫」

これについては、森鴎外自身の自作解説とでも呼ぶべき「歴史其儘と歴史離れ」が参考になります。
鴎外が書いている説経のあらすじを読んだだけでも、
1.小説では額に烙印を押されるのは姉弟二人が同時に見た夢の中でのことだが、説話では実際に押された。
2.小説では厨子王を逃がした安寿は入水自殺を遂げるが、説話では山椒大夫の手下に責め殺される。
3.小説では丹後の守となった厨子王は山椒大夫に奴婢を解放し給料を払うようにさせたが、説話では竹の鋸で挽き殺させる。
4.小説では山椒大夫の息子のうち太郎は失踪し姉弟を労るのは二郎だけだが、説話では太郎と二郎が労り、姉弟を虐げた三郎は殺される。
といった点が異なります。


一方、鴎外自身が改変した(勝手に想像して書いた)と述べている箇所は、大きく四つあります。
1.説話では厨子王を救うのは梅津院となっているが、この人の身分が分からないので藤原師実にした。
2.安寿と厨子王の父・正氏は伝説には平将門の末裔だとあるが、桓武平氏(桓武天皇の血筋をひく平家の一門)とした。
3.上の4と重複するが、山椒大夫の息子のうち、姉弟を労る側の人物は二人である必要がないので、太郎を失踪させ二郎だけにした。
4.小説の山椒大夫一家に虐げられるという設定には厨子王は十三歳が相応しいが、国守になるには多少無理がある。そこで、それを藤原氏の権限に委ねた。


だいたい、こんなところです。お役にたてれば幸いです。


yos********さん 2012/7/2321:04:59


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青空文庫が今年の憲法記念日以来閲覧停止となっており(NHKの陰謀)森鴎外「山椒大夫」原文が掲載できず検索中です。発見次第掲載します。平静30年12月23日豊岳正彦記す。


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この歌は、成長した厨子王がある日、民家の庭に蓆(むしろ)を引いてその上に収穫した粟(あわ)の穂を天日で乾かす為に置いている所に盲目の老婆が粟を食べようと近づく雀たちを追い払う役目を負わされているところに偶然出会うシーンで歌われている歌であるので、


意味は、単純に
安寿が恋しいよ ※「ほうれやほ」は掛け声(あーそれそれみたいなもの)
厨子王が恋しいよ
鳥(雀)も命があるものならば、(命が惜しいものなら)
早く早く逃げなさいよ!(私が)こんなふうに追わなくても



多分、餌につられて人間に近付いてくる無邪気な雀たちの姿を自分の子供たちの姿にダブらすことで、娘と息子の身を案じて、どうか命を失う危険から遠ざかって逃げていておくれよ・・・・っていう気持ちが込められているのだと思います。


nuk********さん 2013/8/2321:36:02


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母親は眼が見えない、と言う点に注目してください、しかも売られて奴隷にされていたのだ、安寿恋しや、厨子王恋しや、は言葉の通り、ほうやれほ、は囃子(はやし)言葉、鳥もーー逃げよ、は穀物を食いに来る小鳥を追い払うのが役目なので、自分に手間を掛けさせないで早く行ってしまえ、と言っている、と言うのがhayzimonの解釈です、


hay********さん 2013/8/2321:31:53


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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


山椒大夫
さんしょうだゆう



森鴎外(おうがい)の短編小説。1915年(大正4)1月『中央公論』に発表。歴史小説の一つ。人買いにさらわれて丹後(たんご)の山椒大夫に売り渡された安寿(あんじゅ)は、同じ運命の弟厨子王(ずしおう)を逃がして、投身自殺する。やがて、丹後の国守となって戻った厨子王は、人身売買を禁じ、さらに佐渡に渡って、売られた母を探し出す。山荘太夫伝説に基づきつつ、残酷な部分や信心譚(たん)的部分は和らげ、姉の献身に重点を置いて、美しい物語に仕立てられている。古い倫理を詩情のうちに再生させた名品である。[磯貝英夫]
『『山椒大夫・高瀬舟 他四編』(岩波文庫)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典の解説


さんしょう‐だゆう サンセウダイフ【山椒大夫・三荘シャウ大夫・山荘シャウ大夫】


[1]
[一] (「大夫」は長者の意。「山椒」「三荘」については大夫が山椒を売って富を得たからとも、三つの山荘を持っていたからともいう) 丹後国(京都府)由良(ゆら)の長者の名。
※俳諧・天満千句(1676)九「御兄弟見捨てとちへ消る雪〈素玄〉 さんしゃう太夫が袖の山風〈武仙〉」
[二] 長者伝説の一つ。栄華を誇っていた(一)の長者が没落する話。陸奥国(青森県)の太守岩城判官正氏が、他人の虚言によって無実の罪をきせられ、筑紫国(九州)に流されたので、その子安寿姫と厨子王が母と共に父を尋ねて越後国(新潟県)直江津まで来たが、人買いにだまされ、母は佐渡へ、安寿姫と厨子王は山椒大夫に売られてしまった。山椒大夫は強欲非道な男で、他の奴婢同様二人を酷使した。そのため安寿姫は厨子王を逃がし、自分は拷問にあって殺されてしまった。後、厨子王は都まで行き、朝廷に請うて、丹後、越後、佐渡を賜わり、再び、由良に行って山椒大夫をこらしめて仇をむくいたという内容。「さんしょう」には種々の字が当てられるが、柳田国男は、中世の被差別民である散所民をこの物語の語り手とし、散所の太夫と説いた。
[三] (一)の伝説を脚色した説経浄瑠璃。五説経の一つに数えられる程流行し、江戸初期に数種の正本が出た。
[四] (一)の伝説を脚色した浄瑠璃。文彌節にも「山枡太夫」、角太夫節に「都志王丸」があったが、紀海音作「山枡太夫恋慕湊(れんぼのみなと)」、竹田出雲作「山荘太夫五人嬢(むすめ)」、近松半二ら作「由良湊千軒長者(ゆらのみなとせんげんちょうじゃ)」などが名高い。
[五] (山椒大夫) 小説。森鴎外作。大正四年(一九一五)発表。説経節、浄瑠璃の形で伝承されていた山椒大夫伝説に基づく。安寿と厨子王の姉弟愛と、守り本尊による霊験を情感豊かに描く。
[2] ((一)(一)が奴婢を酷使したところから) 人遣いの荒い人。
※黄表紙・金々先生造化夢(1794)「やれ三介の、やれおさんの、やれ長松のと、やすくされるは、その身その身の拙き果報故と思ひ、いかなる三庄大夫も憐れみ使ふべき事なり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典内の山椒大夫の言及


【散所】より



… 散所が研究の対象として浮かび上がったのは大正期に入ってからで,被差別部落の起源・沿革を学問的に明らかにする必要性が当時の社会においてつよく求められだしたためである。その契機をなしたのは,1915年の森鷗外作《山椒大夫(さんしようだゆう)》であり,安寿(あんじゆ)と厨子王(ずしおう)の物語として古くから人々に親しまれてきた素材を用いたこの小説は,散所を主要な舞台としていた。また同年,民俗学者の柳田国男が《山荘太夫考(さんしようだゆうこう)》を発表して,散所の芸能民について述べたのも,歴史的関心をたかめる一助となったとみられる。…
※「山椒大夫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。


出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報


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2018年12月23日豊岳正彦平静に記す。



 産める子に 踏まれ蹴られど 母ごころ


  わが身消ゆれど 子をば守らむ



 垂乳根(たらちね)の 白き媼母(おんも)の 独り寝(ぬ)る



  寝音に暁(あけ)の 待ち遠しけれ


  


      雲居杣人正顔


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